佐々木マキさんの絵本『へろへろおじさん』。笑いの絵本として知られていますが、最後の一場面で、大人の胸にひっそりと刺さるものを残します。4才から読めますが、疲れた日の大人にこそ、そっと手渡したい一冊です。

やれやれ、世の中にはですね、「今日は何もうまくいかない日」というものがございます。朝から鍵を忘れ、傘を忘れ、財布を忘れ——そのたびに「しょうがない」と笑い飛ばせる人もおれば、だんだんと、ただただ積み重なっていく人もおります。
へろへろになりながらも、一つのことをやり遂げようとする。それだけのお話でございます。佐々木マキさんの絵本『へろへろおじさん』。福音館書店より。
📘 本に関する基本情報
📖 書名:へろへろおじさん
✍️ 作:佐々木マキ
🏢 出版社:福音館書店
🎯 対象年齢:3歳から/大人にも
📚 内容紹介(出版社公式より)
とことん運が悪いおじさんの、へろへろな一日
このおじさん、今日はとことんツイてない。友だちに手紙を出そうと思っただけなのに、家を出ようとしたら階段を転げ落ち、道を歩けば空からマットが降ってくる。さらには道の向こうからとんでもないものが……! もはや体はよろよろ、手紙はしわくちゃ。おじさんは身も心もすっかりへろへろです。とっても気の毒なのだけど、そのあまりにも不運な姿が笑いを誘います。上質なドタバタ喜劇を見ているかのような一冊です。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

今日の本は、タイトルだけでもう疲れてるね。

読む前から、かわいそうじゃん。

では今日は、おじさんがどのようにへろへろになるのか、そっと見届けることにいたしましょう。
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メインセッション

……読み終わって、なんか笑ったけど、最後だけ、ちょっと違う感じになった。

おじさんがベンチで泣くとこな。それまでずっとコメディだったのに、急にそこだけ、ちゃんとした人間の話になる。

「ずっとがまんしてきました」。この一文が効いておりますな。がまんしていた、ということは、全部わかっていた、ということです。笑えないほど辛いわけでもない。でも笑えるほど平気でもない。おじさんはずっと、その境界に立っておりました。

そこにアイスクリームが落ちるんだよな。最後のとどめみたいに。もう笑うしかないっていう感じなのに、おじさんは笑えなくて泣く。それがまた……。

で、泣いてるとこに女の子が来て。「これ、どうぞ」って言うだけ。

そのシーンがすごく印象に残った。女の子は何かを理解してたわけじゃないと思うんだよ。おじさんが泣いてて、自分はアイスクリームを持ってて、渡した。ただそれだけ。

でもそれでいいと思う。

そうかもしれませんな。理由を持って差し出されたわけではないかもしれない。でもだからこそ、おじさんは受け取れたのかもしれない。

「かわいそうだから」でも「元気出して」でもなく、ただ。

ただ、それだけのことで。
🎵今日の余韻


……なんか今日、疲れてたのかなあ。この絵本でこんなに止まるとは思わんかった。

疲れているほうが、本はよく沁みるぜ。

では、今日のしおりは。この一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。




