
世の中には、何度問い直しても腑に落ちない問いってのがございます。
「なんのために、生きているのか」——若い頃は、その問いをずっと持て余しておりました。
答えが出ないのが、どこか後ろめたくて。
……でも考えてみると、あの問いが重かったのは、答えを持っていなかったからじゃなく、「持たなきゃいけない」と思い込んでいたからでございますな。
1977年に生まれた一冊が、その重い問いをやわらかく変えてくれます。
本日ご紹介するのは——佐野洋子さん作・絵、講談社刊
『100万回生きたねこ』でございます。
📘 本に関する基本情報
📖 書名:100万回生きたねこ
✍️ 作・絵:佐野洋子
🏢 出版社:講談社
🎯 対象年齢:4歳〜大人まで
📚内容紹介(公式HPより)
100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで,100万回も 生きたのです。
りっぱな とらねこでした。
100万人の 人が, そのねこを かわいがり, 100万人の 人が, そのねこが しんだとき なきました。
ねこは, 1回も なきませんでした。
読むたびにちがう気持ちになる、りっぱなとらねこの、ふしぎな物語。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

これ知ってる。有名なやつじゃん。100万回生きるんでしょ?

有名な絵本ほど、油断してはいけませんな。

……じゃあ、久しぶりにちゃんと読んでみようか。
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メインセッション

このねこさ、100万回も死んで、100万回も生きるんよ。
でも、ずっと「誰かの猫」なんよね。
王さまの猫、船のりの猫、手品つかいの猫、どろぼうの猫、おばあさんの猫——。

ずっと”王さまのねこ”とか”船のりのねこ”じゃん。
ねこの名前って、なかったのかな?

……あ。
そう。最後まで、名前が出てこないんよ。

(扇子を静かに止めて)
……「誰かのもの」には、名前をつけますな。 でも「自分の名前」は、自分ではつけられない——。

ねこは100万回も死んでるのに、1回も泣かなかった。
泣く理由が、自分の中になかったんだな。

でも、ねこを飼っている人はみんな泣いてたよ。

そう、でもねこ自身は、どっか他人事みたいで——。

自分のことで死んでいない、ということでございますな。 誰かに決められた場所で生きていると—— 自分が傷ついているのかどうかさえ、だんだん鈍くなってしまうもんでございます。

……なんか、わかる気がする。
(4人、しばらく黙る)

のらねこになってから、変わるんだよな。
誰の猫でもない。はじめて——自分だけの猫になった。

「じぶんが だいすき」になってるじゃん。なんかえらそうだったし。

そうなんよな、
でも、えらそうじゃないんよ。
「やっと、自分のものになれた」みたいな

自惚れとは、ちがいますな。
自分がここにいるという実感。
それがあってはじめて、誰かをほんとうに好きになれるんでございます。
🎸 GIB’S ROCKER ROOM


Hey。ちょっとだけ、佐野洋子さんのことを話させてくれ。
1938年生まれ、北京出身。 武蔵野美術大学のDesign科を出たあと、ベルリンの造形大学でLithographyを学んでる。 絵本作家というより、最初からArtistとして存在してたんだよ。
この本の初版が1977年。2016年には112刷。 50年近く、ずっと棚に並んでる。Legendって、そういうことだよ。
佐野さんは2010年、72歳で亡くなった。 「生と死」を書き続けた人が、この絵本を残して去った——。 そう思うと、読み方がすこし変わる。
🏠 今日の余韻


のらねこになる場面、一言でさらっと書いてあるんよ。
でも、そこで何かが変わる感じがするんよな。

……はじめて、自分のものになった。
ただそれだけのことが、どれほど大きいか——。

王さまの猫の頃も、あの子は立派なとらねこだったんだよ。変わったのは、状況じゃなくて……。

ええ。
(少しの間)
……では、今日のしおりは、この一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
自分の ねこに なりました。
毎回、絵本から大切に拾い上げた一文を、
心のしおりとして残していきます。
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この絵本を読んで「うちもそうだった!」「このセリフが好き!」
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。




