ショーン・タンの絵本『エリック』は、交換留学生との出会いを描いた物語です。
けれど読み終えたあと、心に残るのはエリックの正体ではなく、「ぼく」や家族があとから気づいたことでした。
同じ言葉なのに、最後にはまったく違って聞こえる。そんな静かな余韻を残す一冊です。

え〜誰かに喜んでもらおうと選んだ贈りもの。
「これ、好きそうだな。」そう思って渡したのに、相手の反応は思ったほどでもない。
「あれ、気に入らなかったかな。」そんな経験、ございませんでしょうか。
けれど後になって、「あのとき、ちゃんとうれしかったよ。」なんて聞くと、胸をなで下ろしたりいたします。
届けたつもりでも届いていなかったり、届かなかったと思っていたものが、ずいぶん時間をかけて相手の中で育っていたり。人の思いとは、不思議なものでございます。
分からないままだからこそ、人と人は面白い——そんなことを思わせる一冊、本日ご紹介するのは、ショーン・タン作、岸本佐知子さん訳、河出書房新社より刊行されている『エリック』です。
📘 本に関する基本情報
📖 書名:エリック
✍️ 作・絵:ショーン・タン
🌐 訳:岸本佐知子
🏢 出版社:河出書房新社
📅 初版:2012年10月
🎯 対象年齢:小学校高学年〜大人
📚 内容紹介(出版社公式より)
ホームステイにやってきたエリックを、ぼくらは皆でもてなしたものの、興味をひくのは小さな変なものばかり。ショーン・タンの優しいまなざしが注がれた、宝物のような一冊。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

今日これにしようか。
『エリック』。

エリック?表紙の絵は人じゃなさそうだけど。

Hey! タイトルだけじゃ、まったく想像できないな。

名は体を表す……とは申しますが、この一冊は
名前だけでは何も分かりません。では、読んでみましょう。
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メインセッション

……読み終わった。

なんか不思議なお話だったね。

うん。でも、一番不思議だったのはエリックじゃなかった。

ほう。

最初はさ。
家族はあんなに歓迎してるのに、エリックって、あんまりうれしそうじゃないなって思ってた。

なんでそんな小さいものばっかり見てるんだろうって思った。

見えるものは同じでも、
見ているものは違う。
よくある話でございます。

でもエリックは楽しんでなかったんじゃなくて……
ずっと探してたんだ。

『ぼく』も、
エリックも、
どっちも相手を喜ばせたかっただけなんだよね?

That’s it.
そこなんだよ。

だから最後のあの言葉……
同じ言葉なのに、
最初と全然違って聞こえた。

人は分からないものに名前を付けます。
安心するために。
けれど、
本当に心が通ったあとでは、
その名前さえ少しやさしく聞こえるものでございます。
🎵今日の余韻


人を喜ばせようって気持ちは、
国なんて関係ないのかもしれないね。

うん、最後は笑っちゃった。

同じセリフ。
でもSoulはまるで違った。
That’s Sean Tan.

では、今日のしおりは、この一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
そう母さんが言う。
毎回、絵本から大切に拾い上げた一文を、
心のしおりとして残していきます。
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。




