
え〜旅というものは、不思議でございますな。
遠くへ行くことが旅だと思っておりますが、ほんとうは、何かを手放すために歩き出すこともある。
仕事の肩書きだったり、誰かに見せている顔だったり、いつの間にか自分を縛っていた小さな檻だったり。
誰かを送り届けるつもりで出発した道が、気づけば自分自身を外へ連れ出していることもあるのでございます。
本日ご紹介するのは、ラスカル文、ルイ・ジョス絵、山田兼士訳、らんか社より『オレゴンの旅』。
クマを森へ返す旅でありながら、読み終える頃には、ピエロの赤い鼻の奥にある静けさが残る一冊でございます。
📘 本に関する基本情報
📖 書名:オレゴンの旅
✍️ 文:ラスカル
🎨 絵:ルイ・ジョス
🖋 訳:山田兼士
🏢 出版社:らんか社
※旧版はセーラー出版より刊行。現在はらんか社より復刊版が刊行されています。
🎯 対象年齢:小学校高学年ごろから/大人にも
📚内容紹介
星のサーカス団でピエロとして暮らすデュークは、友だちのクマ・オレゴンから、大きな森へ連れていってほしいと頼まれます。二人は夜のサーカスを抜け出し、ヒッチハイクや貨物列車に乗りながら、アメリカを横断していきます。オレゴンを森へ帰したあと、デューク自身の旅もまた、静かに始まります。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

今日は大人向けの本を引っ張り出してきた。

では、読みましょうか。
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メインセッション

ピエロのデュークは子供のころ、ぬいぐるみのクマさえ持てなかった……それが、オレゴンと旅をする理由なんだよね。義務じゃなくて、たぶん、そういうことなんだよな。

……誰かのために動いているようで、実はずっと前から自分の中に欠けていた何かを、取り戻しに行っているのかもしれませんな。

途中で車に乗せてくれたスパイクとのやり取り、あそこで、息が止まったぜ。

「ぼくたちふたりは、よく似ています」それだけで終わる。解説しない。

あのひとこと、ずっと残るな。

ルイ・ジョスの絵がまたいいんだよな。ピッツバーグを抜けるまで、ずっとくすんで重くて。それが平野に出た途端、ヴァン・ゴッホみたいな金色になる。描写が全然ないのに、体が感じる。

言葉が少ないぶん、絵が旅の体感を丸ごと引き受けているんでございますな。読んでいるこちらも、知らず知らず歩いているような気になってくる。

オレゴンと森で焚き火をしているシーン、清々しさよりも……なんか、しんとしてる感じがした。

ええ。満たされているのか、寂しいのか、自分でもわからないような。

そこから「今度はぼくの旅に出よう」ってなるよね。オレゴンとの約束を果たした事で、デュークも何か軽くなったのかな。

軽くなったのは、荷物じゃない。……何かを諦めていた重さ、かもしれねえな。
🎵今日の余韻


約束ひとつで、ここまで歩いてこられるものなんだな、ほんとに。

約束というのは、相手のためだけじゃない。守ろうとすることが、自分自身を連れていく力にもなる。

……では今日のしおりは、旅が終わった夜のデュークが、静かに思ったこと。その一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
なんにも考えずに、心を軽くして。
毎回、絵本から大切に拾い上げた一文を、
心のしおりとして残していきます。
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。


