
え〜、世の中の大人というのは、よく「この子は将来どんな人間になるんだろう」と期待を膨らませますな。賢くなってほしい、足が速くなってほしい、才能があってほしい——。生まれてくる前から、あれやこれやと勝手なことを想像しておりまして。
ところが、赤ちゃんが実際に生まれてきた瞬間というのは、そんな期待がどこかへすっ飛んでしまう。ただ、生まれてきた。それだけで、胸がいっぱいになる。
今日ご紹介するのは、その「それだけ」の話でございます。
なかがわちひろさんの文、さとうゆうすけさんの絵。BL出版より、『つきよのたまご』。
📘 本に関する基本情報
📖 書名: つきよのたまご ちいさなぽぽろのものがたり
✍️ 作・絵: なかがわちひろ 文 / さとうゆうすけ 絵
🏢 出版社: BL出版
🎯 対象年齢: 3歳〜
📚内容紹介(公式HPより)
小さなぽぽろが今一番楽しみなことは、もうじき妹がうまれること。「妹はどんな子なの?」ぽぽろはじっとしていられず家を飛び出しました!友だちはみんなそれぞれ素敵。妹もこうだったらいいな、ああだったらいいなと想像がふくらみますが・・・花や虫や動物にどこか似ている、ちいさなひとたちの幸福感あふれるものがたり。
📚 えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

はる、それ何作ってるの?

アイシの妹! 名前は「アイコ」! きゅうりのリボンつけるの!

てやんでぇ、ケロ! アタシに妹ができるなら、せめて落語ができる子でお願いしたいもんですな。
きゅうりは浅漬け派で、座布団の上では長時間正座ができる。
そして何より、サゲを言う前に横取りしない子がいいですな。

条件つけすぎじゃない? 生まれる前からプレッシャーすごいよ。

まだ会ってない相手に、勝手な期待を乗せすぎるのはRockじゃねぇ。
でも、その「どんな子かな?」って胸が鳴る感じは、最高のGrooveだぜ。
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メインセッション

最後のページでね。
生まれたぶぶらには、ぽぽろが思っていたものが、ひとつもなかったんだよね。

ひとつも、ございませんでしたな。

くりちゃんみたいな前歯も、ののちゃんみたいな甲羅も、るるりちゃんみたいな羽も。
ぽぽろが「こんなのがあったらいいな」って思っていたものが、何もない。

うん。
「でも、ぽぽろはぶぶらがだいすきで、ふたりはとってもなかよしでした」って終わるんよ。

そこは少し心が動きましたな。

「でも」ってついてるのが、すごくない?
「でも、好き」って。

ためらいがねえな。
ぽぽろは、がっかりしていない。

そこなんです。
望んでいたものがなかったのに、ぽぽろは一ミリもがっかりしてない。

ぽぽろが「いもうとにも、こんなものがあればいいな」と思ったとき、あれは自分のためではありませんでしたな。

そうなんよ。
前歯があれば痛くない。
足が速ければ走れる。
羽があれば飛べる。
全部、妹が困らないように、楽しめるようにって考えてた。

Exactly! 欲しかったのは、妹を立派にするための飾りではなく、妹への安全であり、妹への楽しさだったんだろうな。

だから、なくてもよかった。

はい。
なくても、会えましたからな。

……会えたことが、もう全部だったんだね。

会えたことが、全部でございました。

これ、子どもへの親の気持ちにも重なるんよなあ、やっぱり。生まれる前は、いろいろ考えるじゃない。
健康でいてほしい。
強くなってほしい。
やさしくなってほしい。
ちゃんと生きていける子になってほしい。

ああ。

でも、実際に生まれた瞬間って、そういう願いが……なんというか。

どこかへ、いってしまう。

そう。いってしまうんよなあ。
なんか、うまく言えんけど。

言えなくてよろしい。
言えないのが、たぶんほんとうのことでございますから。
🎵今日の余韻


ぽぽろは、妹に何かを足したかったんじゃないんだね。

ただ元気に出てきて欲しかった。

それで、出てきたらもう、好きだった。

はい。
では今日のしおりは、この一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。


