たむらしげるさんの絵本『よるのおと』。少年がおじいちゃんの家へ向かう、ほんの数十秒。その傍らで動いている夜の自然を、無数の音と深い青で描いた一冊です。

いやはや。
昼間は、いろんな音が次々と耳に入ってまいります。
車の音、話し声、電話の着信音。ところが夜になりますと、それまで隠れていた小さな音が、そっと前へ出てまいります。
草むらの虫。遠くを走る列車。水辺で何かが動いた気配。
静かだからこそ、聞こえてくるものがある。夜は眠っているようで、あちらこちらで何かが始まっているようです。
本日ご紹介するのは、たむらしげる作、偕成社より『よるのおと』。
それでは少し、耳を澄ませてみましょうか。
📘 本に関する基本情報
📖 書名: よるのおと
✍️ 作・絵: たむらしげる
🏢 出版社: 偕成社
🎯 対象年齢: 3歳
📚 内容紹介(出版社HPより)
男の子が池のほとりを歩いています。もうすぐおじいさんの家につくところです。もうすっかり日がくれて、空には月が輝いています。リリリ、リリリ。虫が鳴いています。遠くからは列車の汽笛。池に浮かぶハスの葉にはカエルがいます。シカの親子も水を飲みにきているようです。ほんの数十秒のあいだにおこる小さなドラマの数々。そこにひろがるゆたかな世界。ページをめくることが一つの体験だということが感じられる絵本です。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

今日これにしようか。
『よるのおと』。

夜なのに、けっこう明るいね。

静かなアルバムのジャケットみたいだな。

灯りの届かないところにも、何かがいるようでございますな。
では、読んでみましょうか。
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メインセッション

音ばっかりだった。

静かな夜の本だと思ってたけど、けっこうにぎやかだったね。

音が多いというより、一つひとつがよく聞こえるんだろうな。
まわりが静かだから。

近くの音だけじゃないんよね。
草むらの虫がいて、池にはカエルや魚がいて、ずっと向こうでは汽車が走ってる。

同じ夜の中で、あちらでもこちらでも、それぞれの時間が動いているのでございますな。

それでも、全部が重なって騒がしくならない。
虫の声のあとに汽車が来て、犬が吠えて、水が鳴る。音と音のあいだに、ちゃんと夜がある。

ああ。ずっと鳴りっぱなしじゃないから、一つの音が残るのか。
🎵今日の余韻


子どものころ、家の裏がたんぼで、夜になるとカエルが一斉に鳴いてたんよ。

昼は鳴いてなかったの?

どうだったかな。昼も鳴いてたのかもしれない。
でも、覚えてるのは夜の声なんだよね。まわりが静かだったから、余計に聞こえたのかな。

あとがきによると、たむらしげるさんが芭蕉の「古池や 蛙飛びこむ 水の音」を習ったのも、9歳のときなんだ。
本当に池で聞いた音じゃない。
言葉を聞いた瞬間、頭の中でひとつの水音が鳴った。はると同じ年だな。

その一音から広がった波紋が、六十年近くたって、この夜になったのでございますな。
では、始まりの音だけを置いておきましょう。
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。



