
いやはや。
「いない」という言葉は、ずいぶん強い言葉でございますな。
そこにいたはずの気配がなくなる。
いつもの場所が、ぽっかり空いている。
呼んでも、返事がない。
けれど、不思議なもので。
いなくなったはずの存在ほど、ふとした瞬間に、近くにいることがある。
毛布のしわ。
窓ぎわの光。
朝の静けさ。
本日ご紹介するのは、シズカさん作・絵、月とコンパスより
『Je suis là ここにいるよ』。
見えないものを、見えるようにするのではなく。
見えなくなっても、消えないものを、そっと置いてくれる一冊でございます。
📘 本に関する基本情報
📖 書名: Je suis là ここにいるよ
✍️ 作・絵: シズカ
🏢 出版社: 月とコンパス
🎯 対象年齢:親子で読むなら、小学校中学年ごろから。大人がひとりで読む絵本としてもおすすめです。
📚内容紹介(公式HPより)
この世を去った愛猫が、悲しみにくれるボクに寄り添い語りかける――「ここにいるよ」。
愛しい姿、声、しぐさ、ぬくもり、匂い、よみがえる幸せな日の記憶。
大切な存在を失った悲しみを抱きしめ、涙を越えた愛と絆に気づかせてくれる感動の絵本。
🎙️えほん深掘りトーク
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。
オープニング:

パパ……みおちゃんちの猫のソラ、しんじゃったんだって。

そっか……。それは、つらいね。

なんて言えばいいか、わかんなかった。
「だいじょうぶ?」って言っても、だいじょうぶじゃないと思うし。

無理に言葉を探さなくても、よいのかもしれませんな。

そうだな。悲しい時って、励ましの言葉より、隣に座ってくれる人の方が効くことある。

……じゃあ、「話したくなったら聞くよ」って言えばよかったかな。

それ、すごくいいと思うよ。

では、ゆっくり読みましょうか。
急いで読んでは、いけない本でございます。
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メインセッション

このねこ、なんかうすいね。

半透明の紙に描かれてるんだね。
ページを重ねると、男の子のそばにいるみたいに見える。

これ、すごい演出だな。
ねこはいる。でも、同じ紙の上にはいない。
そこがこの本の全部かもしれない。

ええ。
「いる」と「いない」のあいだに、薄い紙が一枚ある。
その一枚が、悲しみそのものにも見えますな。

呼んでも返事がない、っていうのがさ。
そこがいちばんきつかった。

返事がないって、音がなくなることなんだよな。
でもこの本では、音がなくなったあとに、気配が残る。

男の子は気づいてないけど、ねこはずっとそばにいる。

大人はつい、別れを「終わり」と呼びたくなりますが。
この本は、終わったあとに残るものを描いているのでしょうな。

なでられなくても、抱っこできなくても。
好きだったことまでは、なくならない。

じゃあ、いなくなったんじゃなくて、ちがう場所にいるってこと?

たぶん、そう言ったほうが近いのかもしれない。
🎸 GIB’S ROCKER ROOM


Hey。
この本のすごいところは、泣かせる言葉よりも、紙の重なりで語っているところなんだ。
男の子のいる世界と、ねこのいる世界。
ふたつは分かれているのに、ページをめくると、そっと重なる。
音楽で言えば、もう聴こえないはずのコーラスが、曲の奥にまだ残っている感じ。
消えたんじゃない。
ミックスの奥で、ずっと鳴っている。
そういう本なんだよ。
🎵 今日の余韻


「いない」って思うと、苦しくなるけど。
「消えてない」って思うと、少しだけ息ができるね。

思い出すことは、過去に戻ることではなく、今も一緒にいる形なのかもしれねえな。

はるは、ねこちゃんがやさしいなって思った。
ボクが気づいてなくても、ずっとそばにいてくれる感じがした。

では今日のしおりは、この一文にいたしましょう。
🔖今日のしおり
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✍️この記事を書いた人
juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。



