迷いと優しさを行き来しながら、本当の「たいせつ」を見つける一冊

🔍こんな人におすすめ!
🌱 お子さんへ:
ねこ好きさんに、守りたい気持ちと他人の心を想像する体験を。
👨👩👧👦 親や祖父母の方へ:
命の大切さや責任を語り、揺れる子どもの心に寄り添うヒントがほしいときに。
📚 先生や保育士の方へ:
友情・共感・責任感を考える授業や、転校生など環境変化のケア教材として。
🌍 すべての人へ:
小さな命との出会いが生む温かな感情や、幼い純粋な心の動きを味わいたいときに。
📖 まとめ:
共感・命の尊さ・他者を想う優しさの“心の種”を育んでくれる一冊。
📘 本に関する基本情報
📕 書名:ぼくのねこ ポー
✏️ 作/絵:岩瀬成子・松成真理子
🏢 出版社:PHP研究所
🎂 対象年齢:小学校低学年(7歳ごろ〜)
🌱 育まれる心の種:共感・命の尊さ・責任感・勇気
📝 内容紹介(公式HPより):学校からの帰り道、塀の上にいたねこを家へ連れて帰った“ぼく”。やがて転校生の森くんの「ねこがいなくなった」という言葉に心が揺れ──少年の葛藤と成長を描く物語。
📃あらすじ
放課後クラブが終わった帰り道、ぽつりと雨が落ちる薄暮の路地で、“ぼく”は塀の上にうずくまる子ねこを見つけます。
濡らしたくない。その一心で家へ連れ帰り、お母さんと一緒に飼い主探しを始めるものの手がかりはありません。やがて「ポー」と名前をつけ、新しい家族として迎える日々が静かに始まります。
ところが新学期、転校生の森くんが「うちのねこがいなくなったんだ」と語る場面に遭遇。“ぼく”の胸はドキドキ、頭はぐるぐる。ポーと森くんのねこは同じかもしれない、でも確かめるのが怖い。
「ぼくの気持ち」と「誰かの悲しみ」のあいだで揺れる少年は、やがて自分自身で答えを選ぶ決心を迫られます。
小さな命との出会いが、友だちとの絆や責任の意味を照らし出す一冊です。
📚 今日は何読もう?えほん深掘りトーク
〜パパとミドリさんが場面ごとに語ります〜
※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。

『今日は何読もう?えほん深掘りトーク』コーナーです。今回は岩瀬成子さん作、松成真理子さん絵の『ぼくのねこ ポー』をご紹介します。

今回も心に響く素敵な絵本を深掘りしちゃいますよー!『ぼくがひろったのは、すてねこなのかな?』というキャッチコピーも、この物語の核心を捉えていて、読む前からドキドキしますよね。
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Scene 1 — 塀の上の小さな出会い

物語は、放課後クラブからの帰り道、白い家の近くの塀の上で、男の子がちょこんと丸まってうずくまる一匹のねこを見つけるところから始まります。

そうそう、その時の猫の表情が、たまらなく愛らしいんですよ!運命の出会いって感じですよね。
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Scene 2 — 雨の日の決意

連れて帰りたい気持ちでいっぱいになる男の子ですが、お母さんは最初は『だめ』と言うかもしれない、とためらいます。でもその時、ぽつっと男の子の首に雨が当たり、ねこがびしょ濡れになってしまう前に、『ぼくのねこ』にする決意をするんです。

「これはもう、連れて帰るしかない!ってなりますよね。雨の中、ねこを守りたい一心で抱きかかえる男の子の優しさが、すごく伝わってきます。思わず応援したくなりますよね。
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Scene 3 — 新しい家族探し

家に連れ帰ると、お母さんが『すてねこなら飼ってもいい』と言ってくれます。そして、ねこの心当たりがないかご近所さんにたずねにいきますが皆さん心当たりがなかったんです。

そうなんですよね。ちょっと切ない展開ですが、裏を返せば、男の子にとっては『この子は僕のねこになるかもしれない!』という希望が見えた瞬間ですよね。

猫が飼える!って嬉しくなった。
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Scene 4 — 「ポー」誕生の瞬間

男の子はねこに『ミル』『メメ』『プー』『トラ』など色々な名前を試します。でも、ねこは『ポー』という名前にだけ、ぴくっと耳を動かして反応するんです。

この名付けのシーンはグッときますね。まさに『ぼくのねこ ポー』として新しい名前を得て、二人の絆が生まれた瞬間を感じます。読んでいると、まるで自分もその場にいるかのように、温かい気持ちになりますね。
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Scene 5 — ポーとの楽しい日々

ポーは男の子の家で新しい生活を始めます。長い紐で元気いっぱいに遊んだり、すぐにトイレを覚えたりして、お父さんにも賢いと褒められるんですよ。

元気いっぱいのポーちゃんとの日々は、本当に愛くるしい!男の子との間に笑顔がどんどん増えていって、この穏やかな日常がずっと続けばいいのに、と誰もが思うはずです。
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Scene 6 — 別れの朝

ある朝、目が覚めるとエルフィーは死んでいました。お葬式のあと、少年がエルフィーが生きていた頃に毎晩「ずーっと、ずっと、だいすきだよ」とささやいていたことを思い出します。この行動が、深い悲しみの中でも彼を慰める「たったひとつのなぐさめ」となるのです。言葉の繰り返しが持つ意味がここで腑に落ちます。

愛情表現って相手のためだけでなく、自分への贈り物にもなるってことですね。まさに“ことばの貯金”だ。
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Scene6 — 転校生との予期せぬ会話

ところが新学期、男の子のクラスに転校生の森あつしくんがやってきます。森くんが寂しそうに**『うちのねこがいなくなっちゃったんだ』と話すのを聞き、男の子の胸は急にドキドキし始めるんです。

え、これってまさか…!?ってなりますよね。読んでいるこっちまで、不安が押し寄せてきます。『しんぱいだね』としか言えない男の子の複雑な心境が、痛いほど伝わってきます。
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Scene 7 — 揺れる少年の心

ポーが森くんのねこかもしれないという可能性に、男の子は『どんなねこか、知りたくなかった』と、深く揺れ動く複雑な感情を抱きます。ポーへの深い愛情と、ねこを失った森くんへの思いとの間で、揺れる心情が丁寧に描かれています。

本当にこの辺り胸が締め付けられますよね。もしポーだったら?っていう恐怖と、森くんへの同情がごちゃまぜに…。小さな心の中で道徳が揺れる様子が痛いほど伝わります。
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まとめ

物語は、この葛藤にどう決着をつけるかが肝。知りたくない真実と向き合う過程で、少年は何を学ぶのか。そこをぜひ読者自身の心で確かめてほしいですね。

読み終えた後、“自分ならどうしたかな?”って家族で話し合いたくなりますね。はるとアイシとも話してみます。それでは皆さん、良い読書タイムを~!
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✨心に残った言葉、場面✨
「トム、よかったね」ポーとわかれるのはかなしかった。でも、ぼくはトムに そういった。
ー本当の猫の飼い主の森くんにポーを返した場面

ポーへの深い愛情と、ねこを失った森くんへの思いとの間で、揺れていた谷山くん。でも猫の気持ちを考えた時に何が大切なことか?気づけた瞬間だったんですね。
📝ちょっと深掘り!
■ 作者:岩瀬 成子(いわせ じょうこ)
1950年、山口県生まれ。1978年『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞。
以降、産経児童出版文化賞・小学館文学賞・野間児童文芸賞など受賞多数。
子どもの繊細な感情を“静かな語り”で描く達人。本作でも〈好き〉と〈正しさ〉の狭間で揺れる心を柔らかく描いている。
■ 絵:松成 真理子(まつなり まりこ)
1959年、大阪府生まれ。『まいごのどんぐり』で児童文芸新人賞。
“温かい余白”のある淡いタッチが特徴。少年とポーの距離感をやさしく包み込み、物語の切なさをそっと和らげる。
■ シリーズと刊行
PHP研究所〈PHPとっておきのどうわ〉シリーズの一冊として2024年刊行。
総ルビ・約80ページ構成で、低学年の家庭読書や朝読にもぴったり。
■ 受賞・話題
2025年度「第71回青少年読書感想文全国コンクール・小学校低学年の部」課題図書に選定。
「主人公が“自分よりも命を優先する姿”が子どもたちの生き方に光を与える」と高評価。
■ 読みどころの裏側
・作者はインタビューで「ねこの気持ちになった瞬間、少年は迷いを抜ける」と語り、
“想像力が道徳を生む”というテーマを込めたそう。
・絵本ではなく“幼年童話”という形をとることで、〈行動〉より〈心の振幅〉を細やかに追える点もポイント。
★ ちょいメモ
岩瀬さんは「子どもは“いい子”でも“悪い子”でもなく、ただ迷いながら前へ進む存在」と語っておられます。
ページを閉じた後、自分やわが子の“小さな迷い”を肯定的に見つめ直したくなる背景には、
こうした作者のまなざしが息づいているのかもしれません。
juniwaのひとりごと
谷山くんはポーがいちばん幸せになれる場所はどこだろう?と
立ち止まって答えを出した。
胸の奥に寂しさは残ったけれど、迷いは静かにほどけた。
自分の気持ちより、相手が満たされる場所を思う事。
それが結局、自分の心も整えてくれるのかもしれません。
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✍️この記事を書いた人


juniwa(ジュニワ)
娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
子どもも大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。
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