『ライオンのくにのねずみ』|絵本の感想|書店員が選ぶ絵本新人賞2024〈大賞〉

「知らない」はこわい。でも、知ろうとするって、すごいこと。

🔍こんな人におすすめ!

ちがいが“こわい”と感じるのは、自然なこと。 でも、“知ろうとする”って、すごい一歩。 『ライオンのくにのねずみ』は、そんな気持ちをやさしく応援してくれる絵本です。

🌱 初めての場所が不安な子どもに
引っ越し・転校など、新しい環境で緊張している子に。自分の気持ちを言葉にすることの大切さを学べます。

👨‍👩‍👧‍👦 親や祖父母の方へ
子どもが「こわい」「話せない」と感じている時に読んであげたい一冊。一緒に気持ちを話すきっかけに。

📚 教室や図書館での読み聞かせに
多様性、共生をテーマにした授業の導入にぴったり。違いを認めること、対話の大切さをやさしく伝えられます。

🌏「ちがう」ことに不安を感じている人に
言葉、文化、見た目が違っても、知ろうとするから繋がれることを教えてくれる1冊。読む人の心に、じんわりと勇気の火を灯してくれます。

💭 この本を読むきっかけ

はる
はる

ねえパパ、あとちょっとで1年生が入ってくるよ!わたしも“おねえさん”になるんだ~

ぱぱ
ぱぱ

はるもすっかり先輩だね〜。入学式の時、はるもドキドキしていたの思い出すなあ。

アイシ
アイシ

初めての場所って、わからないことばかりで不安になるよね。教室も、友だちも、みんな初めてだし

はる
はる

うん…。私も最初は、同じクラスの子になんて話しかけたらいいかわかんないって思ったもん。でも、今思うと、はじめに見た目が自分と違って“ちょっと派手で怖そう”って思ってた子が、一番優しかったりもしたなあ。

パパ
パパ

自分と違うと怖いという気持ちになるよね。今日読む『ライオンのくにのねずみ』は“ライオンのくに”に引っ越してきたねずみの子が、恐れを乗り越えてライオンと心を通わせる物語だよ。

📖本に関する基本情報

📖 タイトル:ライオンのくにのねずみ

✍️ 作者: さかとくみ雪

🏢 出版社:中央公論新社

🎯 対象年齢:5歳〜小学校低学年

🌱 育まれる心の種:勇気、多様性への理解、対話する力

📚あらすじ

父親の転勤で、「ライオンのくに」に引っ越してきたねずみの家族。

子ねずみは、ことばも習慣もちがうライオンたちがこわくてたまりません。

そんなある日、勇気をふりしぼって、ライオンと対決することに…。

📖 本の感想についての会話🗣️

※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。


はる
はる

ネズミくんが“リスをわらうな!”ってネズミ語で叫ぶとこ、かっこよかった〜。勇気あったよね。

アイシ
アイシ

あのシーン、ちゃんと自分の言葉で気持ちを伝えたのがすごくよかったな。思わず応援しちゃった。

パパ
パパ

あそこで“怖いから逃げる”から“向き合う”に変わったんだよね。成長の一歩って感じがしたよ。

はる
はる

本当はライオンもねずみといっしょに遊びたかっただけだったんだよね。相手の気持ちを知るって大事だな〜って思ったよ。

アイシ
アイシ

ライオンの気もちを知ったら、もうライオンはライオンじゃなかったっていう言葉が、なんか心に残ったなあ。

パパ
パパ

うん、“怖いライオン”だったのが、“ただの誰か”になる瞬間だったんだね。

はる
はる

物語の最後、人間がお弁当を食べているシーンで終わるけど、どうしてライオンとネズミのお話だったのに、人間が出てくるのかな?

パパ
パパ

お、いいところに気づいたね。ライオンのくにのねずみのことって、じつは自分たち人間のことでもあるんだよ。知らないからこわい、ちがうからわからないって思うこと、自分たちもあるよね。でも、ちゃんと話して、知ろうとすれば、わかりあえる。作者さんはそれを伝えたかったんじゃないかな。

はる
はる

うん。たしかに、わたしも“ちがう”ってだけで苦手って思ったことあるかも。でも、話してみたら全然ちがったりするよね。

アイシ
アイシ

“こわい”って思う気持ちも自然だけど、“知ろうとする”ことをあきらめないのが大事なんだね。ねずみくん、すごくがんばった!

📚 今日は何読もう?〈えほん深掘りトーク〉

※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。

ミドリ
ミドリ

『今日は何読もう?えほん深掘りトーク』コーナーです。今回はさかとくみ雪さんの『ライオンのくにのねずみ』を深掘りしていきましょう。

パパ
パパ

書店員が選ぶ絵本新人賞2024の大賞受賞作で、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれたんですよね。ナビゲートよろしくお願いします。

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Scene 1 — 知らない国、でっかい教室

ミドリ
ミドリ

お父さんの仕事でライオンの国へ引っ越してきたネズミくん。初登校でライオンサイズの机にぶら下がる小さな足は、すべてが大きすぎて「帰りたい」と強く思っています。

パパ
パパ

自分だけ豆粒みたいな教室で心細いですよね。でも“違い”に気づく瞬間こそ、新しい一歩の始まりだと思います。

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Scene 2 — お弁当、ガシャーン!

ミドリ
ミドリ

お母さんが作ってくれた特別なサッカーボール型おにぎりが、大きなライオンにひっくり返され転がります。言葉が通じないから、それが悪意なのか不注意なのかも分からず、恐怖が募ります。

パパ
パパ

弁当が崩れちゃって。恥ずかしさと恐さで胸が締め付けられますよね。相手の真意が分からないときほど、言葉が通じないときついです。

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Scene 3  — リスと小さな母語

ミドリ
ミドリ

そんな中、ネズミ語が話せて故郷に帰りたがっているリスの女の子と出会い、友達になります。ライオンたちにからかわれているリスの存在は、ネズミくんにとって助け舟のようですね。

パパ
パパ

味方が一人でもいるだけで景色が一変しますよね。リスの存在がネズミくんの背筋をのばしてくれましたよね。

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Scene 4 — サッカーは共通語

ミドリ
ミドリ

ライオンたちはサッカーが大好きですが、実はネズミくんもネズミの国でサッカークラブに入っていて、自信があるんです。ここに言葉や体の大きさの違いを超えた共通の土壌が見えてきますね。

パパ
パパ

スポーツは言葉いらずの共通語ですね。お互いのプレーを讃え合い笑顔がこぼれたら、それだけで気持ちは通じる。

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Scene 5 — 勇気のシャウト

ミドリ
ミドリ

試合中にリスが転んでライオンたちに笑われた瞬間、ネズミくんは震えながらも「リスをわらうな!」と叫び、教室の空気を一変させてしまいます。

パパ
パパ

小っちゃいねずみくんが叫んだ言葉。意味が伝わらなくても、その強い感情はライオンたちにも届きました。

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Scene 6 — サンドイッチ交換の魔法

ミドリ
ミドリ

かつておにぎりを散らしたあのライオンが、はにかみながらサンドイッチを差し出し「交換しないか?」と尋ねます。この一言が、ネズミくんとライオンの間に橋を架けましたよね。

パパ
パパ

同じ釜の飯を食うという古い言葉がありますが食べ物を分け合うと不思議と自然に心も開くんですよね。

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Scene 7 — ライオンはもうライオンじゃない

ミドリ
ミドリ

ライオンの気持ちを知ったネズミくんには「もうライオンはライオンじゃない」と感じます。恐怖が解け、ただの友だちに見えた瞬間なんですね。

パパ
パパ

相手が何を考えているかがわかると見え方が変わる。そうするとそれまでの相手との間の世界も一気に変わりますよね。この絵本が国際理解教育の教材として紹介されているのも納得です。

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まとめ

ミドリ
ミドリ

この物語は、恐怖や誤解から始まった関係が、ほんの少しの勇気と共通体験、そして優しさの交換によって温かいものに変わっていくプロセスを描いています。違いを越えるカギは「共通体験」と「小さな声」ですね。新しい環境で知らない人たちに囲まれた世界ではまず隣の誰かに笑顔で“交換”を持ちかけてみるのが良いかもしれませんね。

パパ
パパ

もし心に残る場面があったら、コメント欄で教えてね。あなたの“小さな勇気”の話を聞けたらうれしいです。それでは皆さん、良い読書タイムを~!

✉️ みんなの感想

この絵本を読んだ人の声をご紹介します。

📖「ただの“教訓的な本”ではなく、物語としてもおもしろい。だからこそ、心にすっと入ってくる。」
― さとみさん
📖「転校をすごく嫌がってた息子に読み聞かせました。読み終わってから「ちゃんと話せば仲よくなれるかも」ってポツンと言ってて、ちょっと気持ちが前向きになった気がします。絵本って、すごいなあって思いました。」
— あんこもちさん
📖「子供と読んで、「ちがってても仲良くなれるんだね」って言ってくれて、なんだかこっちがジーンとしてしまいました。 あたたかい気持ちになれる絵本です。」
— まゆっちさん

🗯️ あなたの声も聞かせてください!

この絵本を読んで「うちもそうだった!」「このセリフが好き!」
そんな“あなたの声”が、次の誰かの「読んでみたい!」につながります。
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✨心に残った言葉、場面✨

ぼくはいままで しろうとしなかった ライオンのきもちを やっと しった。

そのことに きがついたら もう ライオンは ライオンじゃなかった。

ー最後、みんなで弁当を食べている場面

juniwa
juniwa

ずっと“こわい存在”だったライオンの気持ちを、ねずみがはじめてちゃんと考えてみたんですよね。

そうしたら、ただの“ライオン”じゃなくて、「気持ちのあるひとりの仲間」みたいに見えてきた。そんな感じ。相手のことをちゃんと知ろうとするって、大事な一歩なんだなあって改めて思いました。

見え方がガラッと変わると、自分の中の世界も変わるんですよね。仕事先、職場内でもそういうこと、ざらにあります。しみじみ。

📝ちょっと深掘り!

『ライオンのくにのねずみ』は、さかとくみ雪さんによるデビュー作です。
作者のさかとさんは宮城県出身で、現在はドイツ在住。ご家族の都合でドイツに移住し、武蔵野美術大学の通信課程で学びながら、イラストや絵本制作に取り組んできたそうです。

この絵本のアイデアは、ご自身や娘さんが異国で感じた「ちがうことへの戸惑い」や「わかりあいたい気持ち」から生まれたもの。
文化も言葉も見た目も違う相手と、どうやって向き合っていくか。子ねずみの物語を通して、「優しさと勇気」について自然と考えさせられる作品になっています。

作者のインタビューでは、「自分や娘の実体験が絵本の核になっている」と語られています(婦人公論.jp)
また、リアルサウンドのインタビュー記事では、「文化が違うと、お互いの普通は全然違います」という印象的な言葉も。

この絵本は、国際理解や多様性をテーマにしながらも、「新しい場所ってやっぱりこわいよね」という素直な気持ちに寄り添ってくれる一冊です。
読むたびに、心のどこかがやわらかくなるような、そんな絵本です。

📚 もっと読みたい!次の一冊リスト

『ライオンのくにのねずみ』を読んだあなたへ

“知らない” ことだらけの国で、一歩踏み出す勇気をもらえた物語。

多様性を受け止め、対話する力を育てたい人におすすめです。

『おおきくなるっていうことは』

作:中川ひろたか/絵:村上康成

「子どもの成長をやさしく伝える、卒園・入学前におすすめの1冊」としてご紹介している絵本。幼稚園や保育園から小学校へ進む時のドキドキや、新しい環境での成長と不安…。これはまさに、『ライオンのくにのねずみ』でネズミくんが経験した、新しい国や学校での不安、そしてそれを乗り越える過程と重なります。

『おしいれのぼうけん』

作:ふるたたるひ/絵:たばたせいいいち

長く愛され続けている『おしいれのぼうけん』は、子どもたちの想像力と、友情の素晴らしさを描いた名作です。未知の世界への挑戦や、困難に立ち向かう勇気。そして友情を育む過程は、『ライオンのくにのねずみ』でネズミくんが「知らない」ことへの恐れを乗り越え、ライオンたちと心を通わせていく姿と重なります。

『ぼくのすみっこ』

作/絵:ジョオ 訳:かみやにじ

『ぼくのすみっこ』は、「ひとりの時間も、だれかといる時間も、どちらも大切に思える」温かい絵本。新しい環境で、人との距離感や関係性にちょっぴり戸惑っているあなたや、『ライオンのくにのねずみ』のネズミくんのように、新しい仲間たちの中でどう過ごそうか考えているお子さんに、そっと寄り添ってくれると絵本です。

まとめ

まとめ

「ライオンって、やっぱりこわい」

最初はそう思ってたねずみが、ちょっと勇気を出して、相手の気持ちを考えてみたら……世界が変わって見えた。この絵本を読んで、

「怖いからって遠ざけちゃってたこと、もしかしたらすごく大事なことだったかも」ってそんなふうに、自分のこともちょっと振り返ってしまいました。新しい場所、初めての出会い、知らない文化。ドキドキするけど、一歩踏み出すと、あったかい何かが待ってるかもしれません。読んだあと、心がほぐれる一冊です。ぜひ、新しい環境や人との出会いにドキドキしている人へ読んでほしいなあと思いました。

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✍️この記事を書いた人

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juniwa(ジュニワ)

娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
子どもも大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。
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