『クジラがしんだら』|絵本の感想|子どもと学ぶ命のつながり|深海の生態系を知る絵本

深い海の底で、いのちが巡る

🔍こんな人におすすめ!

静かに、でもしっかりと心に届くこの絵本は、こんな方にそっと寄り添ってくれます。

  • 🌱 生き物や自然に興味があるお子さんへ
    クジラや深海生物に惹かれるお子さんにぴったり。命のめぐりにやさしく触れるきっかけになります。
  • 👨‍👩‍👧‍👦 子どもと“いのち”を考えたい大人の方へ
    死や命のつながりをどう伝えたらいいか迷ったとき、そっと道を照らしてくれるような絵本です。
  • 📚 教室や図書室にぴったりの1冊を探している先生・保育士さんへ
    環境や生態系の学びにもつながる内容。科学の入り口としても読み聞かせにおすすめです。
  • 🌍命の終わりと始まりを見つめたい人へ
    「死は終わりではない」という深いメッセージが静かに心に残ります。

💭 この本を読むきっかけ

パパ
パパ

さあ、今日の絵本は、ちょっとふしぎで、ちょっとしずかな物語だよ。

はる
はる

不思議で静か?どんなお話?

アイシ
アイシ

もしかして…ひみつの島とか、かくれんぼしてる生きもののお話とか?

パパ
パパ

ふふ、それもいいけど…今日はね、“海の底”で起きる、ほんとうのお話なんだよ

はる
はる

海の底?お魚たちが出てくるの?

はる
はる

うん。だけど、今日の主役は“クジラ”。しかも、クジラが“死んだあと”の物語なんだ。

パパ
パパ

えっ…し、しんじゃうの…?でも、それってこわくない?

パパ
パパ

大丈夫。ちょっとさびしいけどね。でもね、クジラの体は、たくさんの生きものの命をつないでいくんだ。今日はそんな“いのちのバトン”のお話を読んでみよう。

📖本に関する基本情報

  • 📖 タイトル:クジラがしんだら
  • ✍️ 文:江口絵理
  • 🖼️ 絵:かわさきしゅんいち
  • 🏢 出版社:童心社
  • 🎯 対象年齢:5歳ごろから~小学生、大人にもおすすめ
  • 🔬 監修:藤原義弘(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)
  • 🌱 育まれる心の種:
    • 命のつながりを感じる心
    • 自然への敬意
    • 深海生物や科学への興味

この絵本は、科学的な視点とあたたかな語り口で、命の「おわり」から「つながり」を描き出してくれる、静かで深い1冊です。

📚あらすじ

内容紹介:童心社公式サイトより抜粋

深海はえさが少なく、生きものが少ない場所です。ところが、ごくまれに巨大な食べ物のかたまりが降ってくる。それが命を終えたクジラです。クジラの体は、長ければ100年にもわたってさまざまな生物の命を支え続けます。

はじめはサメ、コンゴウアナゴなどが肉を食べ、タカアシガニやグソクムシなど小さな生物が続きます。骨だけになると、こんどはホネクイハナムシという骨を食べる生物があらわれ、その後も長期間にわたりクジラは分解されていきます。

このクジラの死骸を中心に形成される特殊な生態系は「鯨骨生物群集」と呼ばれ、近年の研究でその実態が明らかになってきました。

50~100年というのは、とほうもなく長い時間ですが、必ずどこかで終わりは来ます。
鯨骨に生きる生き物たちは、やがて別のすみかと食べ物を探さなくてはいけない。こんなに広い海で、そうつごうよく、沈んだ大きなクジラに出会えるものでしょうか?

しかし、まっくらな宇宙にも星があるように、深い海の底からあてどない旅に出かける生物たちにも、どこかに必ず明かりがあるのです。でなかったら、クジラに集う生きものたちがずっと子孫を残し、命をつなぎ続けることはできなかったはずです。

これは深海という厳しい世界に生きる生物たちの、いっときの大宴会を描いた物語絵本です。

(引用元:童心社公式サイト)

📖 本の感想についての会話🗣️

※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。

はる
はる

深海って真っ暗で、生き物もあんまりいないのかなあって思ってたけど…けっこういるんだね!

アイシ
アイシ

うんうん!アンコウやユメザメ、カニとか、グソクムシとかね。ぜんぶ集まって、ごちそうパーティーしてた!

パパ
パパ

あれはまさに“深海の大宴会”だね。クジラの命が、いろんな命を元気にしてるってすごいよね。

はる
はる

深海の生き物、ちょっとこわかったけど…よく見たらかわいく見えてきたかも。

アイシ
アイシ

ぼくはホネクイハナムシにびっくりした~!骨を食べる生き物って、なんかすごくない?

パパ
パパ

そうだね。はじめはお肉を食べて、次に小さい生き物たちがやってきて、さいごは骨まで全部使うんだ。ひとつもムダにしないんだよ。

はる
はる

クジラがしんじゃうのはちょっとかなしかったけど…ぜんぶがちゃんと誰かのごはんになるのは、ちょっとホッとした。

パパ
パパ

そうだね。生きものたちは、おわりのあとにも、命をつなげてるんだよ。

✨管理人が心に残った言葉、場面✨

クジラのいのちはおわってもそのからだをたべるいきものたちがべつのいのちをつないでいくのです。

ークジラに様々な生き物が引き寄せられていく場面

管理人JUN
管理人JUN

クジラが命を終えたあと、その体が海の生きものたちにとって大きな「ごちそう」として現れるシーン。サメやグソクムシ、小さな虫たちまで、順番にその体を食べていく――。最初はちょっと驚きますが、どの命もつながっていることに気づかされる場面でした。

このフレーズが心に残ったのは、「死」が終わりじゃないって教えてくれたから。
私たちが普段あまり目にしない深海の世界でも、ちゃんと“命のバトン”がつながっているんですね。

📝ちょっと深掘り!

🌊 鯨骨(げいこつ)生物群集ってなに?

この絵本に出てくる「クジラの死骸に集まる生きものたち」は、実際の海の中でも観察されていて、「鯨骨生物群集(げいこつせいぶつぐんしゅう)」と呼ばれているんです。

これは、大きなクジラが海の底で命を終えたあと、その体を食べにさまざまな生き物が集まってくる特別な“生態系”のこと。肉→骨→分解…と、何十年もかけて、クジラの体はゆっくりと別の命に引き継がれていきます。

登場する生きものたちもとってもユニーク!たとえば…

  • 🦈 サメやコンゴウアナゴ(最初にやってくる)
  • 🦀 タカアシガニやグソクムシ(中くらいの生き物たち)
  • 🪱 ホネクイハナムシ(骨の中をとかして吸収するという、すごい生き物!)

監修をしているのは、国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤原義弘さん。深海の研究をされているプロフェッショナルです。

管理人のひとりごと

死ぬって、終わりじゃないのかもしれない。
そんなふうに思わせてくれる絵本だった。

クジラがしんで、その体が海の底に沈む。
そこから、たくさんの命が始まる。
サメも、カニも、骨を食べる虫も、順番にやってきて、
クジラの体を少しずつ受け取っていく。

誰も「ありがとう」とは言わない。
でも、きっと伝わっているんだと思う。
クジラの体の中にこもった、長い時間や重みやぬくもりが。

読んでいて、どこか遠くの場所の話なのに、
不思議と身近なことみたいに感じた。
わたしたちの毎日だって、
見えないところで誰かに助けられて、つながっているのかもしれない。

📚 この本をチェック!Amazon・楽天・Yahoo!で探す

この記事が気に入ったら…

この記事が気に入ったら、ぜひフォローやいいねで応援していただけると嬉しいです!

皆さんのおすすめの本や感想もコメント欄でシェアしてくださいね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です