『どろぼうジャンボリ』|絵本の感想|捨てられた“手紙のたね”が起こす、ちいさな奇跡

言葉にできず置き去りにした気持ちに、ときどき目を向けたくなる一冊

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🔍こんな人におすすめ!

🌱 お子さんへ:気持ちを言葉にするのがちょっと苦手な子に。

👨‍👩‍👧‍👦 親や祖父母の方へ:子どもの“未完成な言葉”を受け止めたくなる読後感。

📚 先生や保育士の方へ:道徳・国語の“ことばにする力”の導入に。

🌍 すべての人へ:捨てたつもりの思いが、だれかを動かすかもしれない—そんな希望をくれる1冊です。

📘 本に関する基本情報

📖 書名:どろぼうジャンボリ

✍️ 作:阿部 結

🏢 出版社:ほるぷ出版

🎯 対象年齢:5歳〜

🌱 育まれる心の種:ことばにする勇気・やさしさ・つながり

📚 内容紹介

出版社公式紹介より:
この町に住む、風変わりなどろぼう。名前はジャンボリ。町のみんなが眠る夜、ジャンボリはあるものを、こっそりとぬすみだします。それはジャンボリにとって、とっても大事な宝物。ある日、あたらしい町長がやってきて、町のみんなから大切なものを奪います。ジャンボリが夜ごと集めつづけた「あるもの」が、あるとき、町にちいさな奇跡を起こして……。
大切なものを取り戻すためにできることや、偶然がもたらす奇跡が、ユーモラスで豊かなタッチで生き生きと描かれます。国内外で注目を集める実力派絵本作家、阿部結が手がけるはじめての絵童話。読むたびに、心が大きくふくらむ物語です。

📝あらすじ

ジャンボリが集めるのは、お金でも宝石でもない。ゴミ箱にひっそり捨てられた「手紙のたね」——渡せなかった言葉の断片。
新しい町長が来て、町から手紙文化が薄れはじめると、ジャンボリの宝物も集まらなくなる。ある“喪失”を経て、彼は歩きだす。

📚 えほん深掘りトーク

※以下の感想では、物語の展開について詳しく触れています。

ミドリ
ミドリ

皆さん、こんにちは!『今日は何読もう?』の時間です。今回は、“思い・言葉・手紙”のモチーフを描いた阿部結さんのあたたかい絵童話『どろぼうジャンボリ』(ほるぷ出版/2025)をご紹介します。

パパ
パパ

表紙の“バケツをかぶったどろぼう”、何者だろうって気になりました。さっそく読んでいきましょう!

はる
はる

どろぼうなのに、こわくなさそう。

アイシ
アイシ

見た目が謎なので一体何を盗むのか、謎が謎を呼ぶ感じがたまらないね。

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Scene 1 — 盗むもの、手紙の種

ミドリ
ミドリ

彼が盗むのは、お金や宝石ではなく、ゴミ箱に捨てられた『手紙の種』、つまり手紙の下書きなんです

パパ
パパ

手紙の下書き、普通は誰も見向きもしないようなものだよね。

はる
はる

私の机のゴミ箱にも書き間違えた下書き、けっこうあるよ。それもタネになるのかな。

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Scene 2 —  「裸ん坊の気持ち」に宿る価値

ミドリ
ミドリ

捨てられた手紙の種には、みんなの裸ん坊の気持ちが凸凹に綴られていて、ジャンボリーはそれがたまらなく好きだったんですね。

パパ
パパ

確かに後で飾りつけたり色々考えた上で完成された文章よりも、まだ完成前のものにこそ、生の感情がそこにあるのかもしれないなあ。

アイシ
アイシ

はだかんぼうの気持ちって、恥ずかしいけど、ほんとの気持ちだもんね。

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Scene 3 — ジャンボリの丁寧な時間

ミドリ
ミドリ

集めた手紙の種を隠れ家に持ち帰ってからが、また丁寧なんです。シャワーを浴びて、ココアを作り、じっくり読みふける。儀式のようですね。

パパ
パパ

単なる収集家とは違う、精神的な充足を得るための大切な時間なんだろうね。その没頭している姿が、絵からも伝わってくるよ。

はる
はる

他人の下書き、面白かった。書ききれなかったりはよくあるんだよね。

アイシ
アイシ

途中で眠たくなって字が伸びちゃってヨダレがついたのとか、はるのゴミ箱には多そうだ(笑)

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Scene 4 — 町長の登場と手紙文化の消失

ミドリ
ミドリ

ところがある日、新しい町長に変わります。町長は仕事以外で手紙をもらったことがない人物です。彼の登場と同時に、街から手紙の種やポストが消えてしまいます

はる
はる

ポストもなくなっちゃったの?お手紙書けないと、さみしいよね。

パパ
パパ

今はメールやSNSがあるけど、人の気持ちの温度感はやっぱり手紙が一番伝わると思うんだよね。手紙がなくなると胸がパンパンになってしまうんじゃないかな。

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Scene 5 — ジャンボリの絶望と気づき

ミドリ
ミドリ

手紙の種を失ったジャンボリは、試しに宝石やお金を盗みますが、心はちっとも震えない。本当の価値を再確認する瞬間ですね。

パパ
パパ

失って初めてその価値に気づくっていうのは、私たちにも経験があることだよね。他のもので埋めようとしても、埋まらないんですよね。

アイシ
アイシ

お金や宝石があっても、手紙の種がなければ心が沈んでいくんだね。

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Scene 6 — 街の「小さな奇跡」と変化

ミドリ
ミドリ

手紙の種のない街にいて心が沈むばかりだったジャンボリは、盗んでしまった宝石やお金を元の場所に戻し、宝箱だけを持ってこの街を出て行いきます。しかし、宝箱の鍵をかけ忘れていて集めてきた手紙の種は、風に飛ばされてしまいました。

パパ
パパ

ジャンボリの集めた手紙の種が街全体に行き届いて人々の心に芽を出して花を咲かせていった描写は感動的です。

はる
はる

手紙の種を読んで「おてがみかきたい」といった女の子の気持ちわかる!

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Scene 7 — お手紙禁止令の廃止

ミドリ
ミドリ

手紙の種が人々の気持ちを変えていきました。街の人たちの手紙を書きたいという想いが、手紙になって町長に届き、その気持ちが伝わります。

パパ
パパ

ルールを変えたのは声の大きさではなく、静かな手紙たちでしたね。

アイシ
アイシ

街の人たちが手紙を書いている様子や町長が手紙を読みながらいろんな感情の顔になっている場面、面白かったなあ。

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まとめ

ミドリ
ミドリ

ジャンボリが失った「手紙の種」が人々の心に届き、町長までが手紙の良さに気づき、手紙文化を取り戻したのは感動的でした。

パパ
パパ

誰も見向きもしなかった「捨てられた思い」が、実は人と人をつなぎ、心を豊かにする大きな力を持っているんですよね。

ミドリ
ミドリ

はい、この絵本は、私たちの日常にある「心の種」に気づかせてくれるようです。ぜひ『どろぼうジャンボリ』を読んで、ご自身の心の中にある大切な気持ちを見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。今回もありがとうございました!


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✨心に残った言葉、場面✨

わたし おてがみ かきたい

ーてがみのたねを読んで女の子がお母さんにこっそり耳打ちする場面

juniwa
juniwa

ジャンボリが大切にしてきた「手紙の種」が街中に舞い降り、人々の心に触れた後、一人の女の子がお母さんにこっそり耳打ちするこの言葉。手紙によって心が動き、「裸ん坊の気持ち」を表現したいと願う、街に生まれた「小さな奇跡」の瞬間を感じさせます。飾り気のない純粋な言葉が、手紙文化の復活を象徴していて、心が温かくなる場面です。

📝ちょっと深掘り!

創作の出発点:作者・阿部結さんは、2022年のウクライナ侵攻の報道に揺さぶられ、「何か行動を」との思いから物語を構想。当初は戦争を直接描くラフ案だったが、調査と助言を受け、直接描写を避けて「手紙」と“未完成の言葉”に焦点を移し、絵童話として再構成した(出典:作者note その1/その2)

 https://note.com/yuiabe1025/n/nbbd6513e6384 / https://note.com/yuiabe1025/n/n5d9f6251a3b5

主題の核:奪い合う“モノ”ではなく、自分の言葉で世界とつながる力を取り戻す物語。からっぽ(喪失)→余白(準備)→再生という流れが読者の経験で満たされる設計で、公式も「読むたびに、心が大きくふくらむ」と謳う(出典:ほるぷ出版 公式) https://www.holp-pub.co.jp/book/b660966.html

受賞と反響:2025年9月、「第9回 未来屋えほん大賞」大賞を受賞。書店員の推薦や店頭での自主的な応援が広がり、発売後の支持が可視化された(出典:未来屋書店ニュース)

 https://www.miraiyashoten.co.jp/news/miraiyaehon2025/ / PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000152182.html / 絵本ナビ記事 https://style.ehonnavi.net/ehon/2025/09/04_1303.html

作者プロフィール&既作とのつながり:阿部結(1986-)は宮城・気仙沼出身。海の記憶を源流に『なみのいちにち』(ほるぷ出版, 2022)などを刊行。自然や感情のうつろいを詩情豊かに描く作風が本作でも発揮されている

(出典:作者公式) https://yuiyuiabe.jimdoweb.com/ / (作品ページ) https://www.holp-pub.co.jp/smp/book/b607089.html / (朝日新聞デジタルのインタビュー )https://book.asahi.com/article/14700231

絵本の感想

ジャンボリが「捨てられた手紙のたね」を盗む。「捨てる」や「未完成」といった一見ネガティブな行為のなかに、実は豊かな感情やつながりの可能性が眠っているという視点の転換に、何度も頷きました。書き損じのインクのにじみ、途中で止まった一文。そこには嘘のない“はだかんぼうの気持ち”が息づいている。自分にも、出さずじまいの手紙やノートがある。見返すと当時の素のままがにじんでいて、思わず赤面してしまうことも多々ありますが“だかんぼうの気持ち“だからなんでしょうね。ユーモラスでありながらほのかな物悲しさを帯びた阿部結さんの絵が、その気配をやわらかくすくいあげます。言葉にできず置き去りにした気持ちに、ときどき目を向けたくなる一冊です。

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✍️この記事を書いた人

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juniwa(ジュニワ)

娘との読み聞かせをきっかけに、絵本の魅力にどっぷりハマっています。
子どもも大人も楽しめる、心に響く絵本を日々探しています。
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